夫のインナーチャイルドを癒すこと

親子関係・インナーチャイルド

12

最近「夫のインナーチャイルドをどうしたらいいのですか」という質問をよくお受けします。

旦那さまのインナーチャイルドが傷ついていると、普段は良い人なのに突然キレたり、急に黙り込んで引きこもってしまったりなど、理解に苦しむ行動が見られることがあります。

本人自身も、根本的な部分で自分に自信がなかったり、生きづらさを感じている場合が多いのです。

夫が傷ついたインナーチャイルドを持っているとき、妻としてできることは何かについて考えてみましょう。

インナーチャイルドの癒しのワークとは

私の夫婦修復カウンセリングの中では、クライアントさんに「インナーチャイルドの癒しのワーク」をやっていただいています。

インナーチャイルドというのは、潜在意識の中にある、子供のままの心のことです。

ワークの中で出会うインナーチャイルドは、クライアントさんの想像の産物のようでありながら、実は一個の独立した人格体であり、具体的な姿を持った存在なのです

インナーチャイルドは、その人の子供時代の姿をしており、様々な年齢として表れます。

 

インナーチャイルドのワークを世間に広めた第一人者である、ジョン・ブラッドショーは、その著書インナーチャイルド~本当のあなたを取り戻す方法の中で、こう語っています。

 

「初めのうちは、小さな子供が大人の体の中に生き続けることが出来るなんて、バカげたことだと思えるかもしれません。しかしそれがまさに私の言いたいことなのです。

この無視され、傷ついた、”過去の内なる子ども“(以下インナーチャイルド、あるいはチャイルドと呼びます)は、人間の苦悩の源泉だと信じています。

私たちがそのインナーチャイルドを再生し、かばってやらない限り、そのインナーチャイルドは活動し続け、大人の生活を汚染し続けるのです。」

 

ブラッドショー自身、傷ついたインナーチャイルドに振り回される人生を送っていました。

普段はナイス・ガイで責任感のある父親なのに、些細な出来事で突然キレて、感情の嵐に飲み込まれ、家族を恐怖に陥れてしまう自分自身の姿に、長い間苦しんできたのです。

これら全てのことが、傷ついたインナーチャイルドから来ているということを発見した時、彼の人生は自分と他人のインナーチャイルドを癒すことに捧げられました。

夫婦関係を難しくする、インナーチャイルドの傷

夫婦関係において、傷ついたインナーチャイルドが及ぼす作用について、夫婦セラピストのスー・ジョンソンは、その著書私をギュッと抱きしめての中で「むき出しの箇所」という言葉を使って説明しています。

むき出しの箇所とは、主に親との関係の中で、愛着欲求が繰り返し、ないがしろにされたことによって生じた心の過敏性のことを意味します。

それは文字通り「愛着の傷」であり、インナーチャイルドが最も敏感に反応する部分です。

夫婦の一方が何気なく言った言葉が、相手のむき出しの箇所に触れると、相手のインナーチャイルドが激しく反応し、次のような行動に表れます。

突然黙り込み、必死に涙をこらえる。

急に不機嫌になり、キレる。

ムッとして、その場を立ち去る。

夫婦はケンカをすると、相手をやっつけようと、無意識のうちにお互いの「むき出しの箇所」を攻撃し合うことがあります。

しかし、それは相手に想像以上の打撃を与えてしまい、相手は猛然と反撃に出るか、あるいは心を閉ざしてしまいます。

これが繰り返されると、夫婦間の愛着が不安定になり、会話がぎこちなくなったり雰囲気がギクシャクしてしまうのです。

問題児タイプと優等生タイプ

傷ついたインナーチャイルドを持った人には、典型的な2つのタイプが見られます。

タイプ1は、傷ついたインナーチャイルドを丸出しにして生きている人。

タイプ2は、チャイルドの傷を隠そうと、懸命に自分の子供心を抑えている人です。

 

タイプ1は、言ってみれば問題児タイプで、人間関係でのトラブルが絶えません。

自分の感情をそのまま出して生きているため、ある意味わかりやすいのですが、人からは「扱いづらい人」のレッテルを貼られます。

生まれ持った気質が攻撃型だと、気分屋で自分本位、コツコツ努力するより冒険を好み、ゲームや遊びが大好きですが、一度むき出しの箇所を刺激されると、キレまくって暴力沙汰を起こしたりします。

回避型では、感情をあまり表さず無口で、人とのコミュニケーションが苦手で社交性がなく、一人でいることを好みます。

友達はもっぱらコンピューターなどの電子機器と、その中でのバーチャルな人間関係だけ、という人も多いのですが、心の中は常に寂しさと空虚感に満ちています。

普段は大人しいですが、キレると攻撃的になり、過去の出来事をいつまでも根に持っていて周りを驚かせます。

 

一方タイプ2のほうは優等生タイプで、自我状態を常に大人モードにしているので、インナーチャイルドになかなか気づくことができません。

表向きは責任感の強い良識人として生きていますが、本当は自分のインナーチャイルドを無視していて、内面の脆さを隠すための完璧主義の鎧で自分を守っています。

タイプ2の人は結婚すると、配偶者や子供に対しても常に大人であることを要求します。

決まった時間に食事をしなさい、掃除は完璧にしろ、ゲームする時間があるなら本でも読みなさい、など、配偶者や子供を枠の中に入れようとします。

自分自身も、常に働いていないと満足できず、世間から認められるいい人を演じなければ不安を感じ、子供っぽい遊びや冗談、甘えなどに対して嫌悪感を持つ傾向があります。

 

タイプ2の女性が、タイプ1の男性と結婚すると、妻は夫のベビーシッターの役割を負わされることになります。

次から次へと問題を起こす夫。

その尻拭いをして回る、しっかり者の妻。

その姿はまるで、問題を起こしてまわる息子の世話に明け暮れる母親のように見える時があります。

不倫した夫に逆ギレされた妻のインナーチャイルド

典型的なタイプ1である夫と、タイプ2の妻の組み合わせの例として、実際にあった事例を紹介してみましょう。

A子さん(仮名)と夫は小売店を経営していましたが、実際に店を切り盛りするのはA子さんで、夫の方はのらりくらりと遊び歩いていました。

酒を飲んではキレてA子さんに暴力を振るう夫に、A子さんはかなり前から心を閉ざしていました。

揚げ句の果てに、夫は店の従業員と不倫し、不倫相手からセクハラで訴えられて、それを示談にするための多額のお金が必要となったのです。

A子さんがそのことで夫を責めると、夫は逆ギレして暴力を振るい、手が付けられない状態になりました。

長年の結婚生活で傷つくだけ傷ついてきたA子さん。

子供たちを守りたい一心で離婚を避けてきましたが、ついに我慢の限界が来て、私のもとへカウンセリングに来られました。

 

ところが、カウンセリングをする中で、A子さんの中に父親との大きな葛藤があったことがわかったのです。

厳格な家庭の雰囲気は、A子さんにしっかりした良い子であることを要求しました。

親に対する甘えや反抗は一切許されず、全てにおいて完璧であることを願われてきたのです。

そんなA子さんが、第一の結婚に敗れて失意の中にあった時、慰めてくれたのが今の夫でした。

情緒不安定になっていたA子さんは、「誰でもいいから寄りかかりたかった」と言います。

二人は急速に仲良くなり、結婚したのでした。

 

セッションの中では、A子さんに辛かった子供時代の自分の心に向き合ってもらいました。

初めは「親に反抗してはいけない」というブロックが強くかかっていたため、インナーチャイルドにアクセスするのに時間がかかりましたが、ひとたびチャイルドの心が出てくると、我慢してきた親へのネガティブな思いが、涙と共に次々と湧き上がってきました。

それまで、夫が自分の家族を少しでも悪く言おうものなら、激しく怒っていたA子さんでしたが、子供時代の寂しかった思いを、敢えて夫に話してみるよう勧めました。

A子さんが勇気を出して自分のインナーチャイルドについて夫に告白すると、夫は強く見えた妻の内面に、そんなに脆くナイーブな部分があったことを知り、大変驚いていました。

そして「お前はいつも完璧に見え、オレをどうしようもないヤツだと軽蔑してると思っていた」と、自分の率直な気持ちを妻に語り始めたのです。

夫は、妻に夫として認めてもらっていない寂しさから、劣等感に駆られて、わざと妻を困らせるようなことばかりしてきたと言います。

小さい頃から親に認められす、劣等感に満ちた人生だったことを、夫も泣きながら告白しました。

今まで見せたことのない内面の傷つきやすさを相手に見せることで、初めて二人はお互いの本当の気持ちを理解し合うことができました。

実は鏡のように、同じような苦しみを抱えて生きてきた二人だったのです。

夫婦は、これまでお互いを理解できずに傷つけあってきたことを謝罪し、抱き合って号泣しました。

それは、今まで突っ張って生きてきたA子さんが、初めて夫に寄りかかることの出来た瞬間であり、男としての自信を打ち砕かれた夫が、「A子さんを守りたい」と再び決意できた瞬間でした。

離婚寸前まで行っていたA子さん夫婦は、こうして絆を取り戻すことができたのです。

お互いのインナーチャイルドを癒すことで、夫婦は深まる

夫のインナーチャイルドを理解するには、まず妻が自分自身のインナーチャイルドと向き合っている必要があります。

そうでなければ、夫の「むき出しの箇所」と子供じみた行動を理解することができません。

先ほどの事例のように、夫婦の一方が自分自身の「むき出しの箇所」を相手に正直に伝えることで、思わぬ効果がもたらされることがあります。

自分自身の弱みを、誰かにさらけ出すというのは、たとえ夫婦であっても難しく、普段私たちはそれを注意深く避けながら生きています。

けれども、スー・ジョンソンが言うように、相手に自分を十分に知ってもらわなければ、本当に安定した強い絆を生み出すことはできません。

嫌われるのが怖くて、自分のむき出しの箇所を巧妙に隠していては、お互いに相手に最も理解してほしい部分を、永遠にわかってもらうことは出来ないのです。

 

もちろん、伝えるのは勇気が要ります。

「こういう話をするのは難しいのだけど…」と前置きをしてから、自分の敏感な内面世界について、少しづつ伝えていきましょう。

相手が、それを親身に聞いてくれるようだったら、自分のインナーチャイルドがどのように傷ついたのかについても、伝えていきましょう。

あなたが正直になることで、相手も自分自身のむき出しの箇所や、それが作られた原因について語ってくれるようになります。

こうしてお互いのの話を聞いてみると、びっくりする場合が多いのです。

今まで相手が自分を嫌いだからしていたと思った行動が、実は相手の傷ついたインナーチャイルドから来ていたのだということがわかり、相手を理解する気持ちが生まれます。

 

夫婦が、お互いのインナーチャイルドを理解することは、今まで理解不能だと思っていた相手の行動に、明確な理由を与えてくれ、理解と共感と許し促すのです。

最後に、スー・ジョンソンの言葉を引用して終わりたいと思います。

 

「それでも、私たちは過去の囚人ではない。良い方へと変わっていくことができる。

…それは、たとえ深い傷でも配偶者の愛があれば治せるということだ。

思いやりのあるパートナーが、つらい気持ちをしっかり受け止めてくれれば、安全な結びつきの感覚を「獲得」できるのだ。

本当に、人は愛によって変わるのだ。」

 

♥リリーのカウンセリングについてもっと知る

♥無料メール講座を購読する

Posted by Happycounseling


PAGE TOP