不倫した夫をどうしても許せないあなたへ

不倫している旦那さんをどうしても許せない。

とても多いご相談です。

夫婦修復はしたい。

でも、そのために努力するには、夫を許して愛さなければならない。

なのに、どうしても、愛より憎しみが勝ってしまう…

何て辛い状況でしょうか。

矛盾した心の板挟みになって、心が悲鳴をあげています。

 

「可愛さ余って憎さ百倍」という言葉がありますが

愛していた人から裏切られた時、その痛みは倍増します。

愛と憎しみは表裏一体。

でも、あなたは本当に夫を「憎んで」いるのでしょうか?

夫の不倫を愛着理論からみると…

愛着理論では、離別や死別などで、愛する人(愛着対象)を失う時に起こる辛い感情を、悲嘆と呼びます。

愛着対象から分離された時、最初に起こるのは「なんで…!?」という、怒りに満ちた抗議の反応です。

泣いたり怒ったり、激しく取り乱して、起った事実に対して抗議します。

 

しかし、抗議しても愛する人は戻らない、という現実を理解すると、やがて抗議を止め、自分の殻に閉じこもっていきます。

脱力感や抑うつ・食欲減退・睡眠障害などを経験する方も多くいます。

この期間は、自分の心から愛する人を切り離そうとする、愛着離脱の期間なのです。

ある意味、相手を失ったという事実を飲み込み、愛着に終止符を打ち埋葬するための期間と言えるでしょう。

 

ところが、「もう自分の元へは戻ってこないだろう」と諦めていた夫が、妻に対して謝ってきたり、「もう一度よりを戻したい」という姿勢を見せて来たとき、妻が喜ぶどころか、再び夫に激しく抗議したり、泣きわめきながら夫への怒りを爆発させてしまうことがあります。

一旦諦めかけた愛着を、再び手に入れようと必死になり、平常心を失ってしまうのです。

このときの妻の行動が、夫を不安にさせ、再び不倫相手のもとに逃げるように仕向けてしまうことも少なくありません。

男性には、女性が感情的になる時にプレッシャーを感じて、引いてしまう傾向があるからです。

不倫している男性の多くが、妻と不倫相手の間を振り子のように行ったり来たりして、このような一貫性のない態度をとります。

そのため、妻の心はますますかき乱され、夫に対する気持ちを整理できないまま怒りを貯め、それが憎しみとなってしまうのです。

過去の喪失体験が、心の傷を更に大きくする

幼い頃に愛する人との離別や死別、また親の言葉や態度に傷つき、愛着を喪失した経験をすることがあります。

その時の心の痛みがあまりに大きいと、その事実を受け止められないまま成長してしまいます。

愛着の喪失体験を、自分で納得できないままに心の中にしまい込むと、それは未解決の課題としていつまでも潜在意識のなかに残り、似通った喪失体験をするたびに、反応が激しくで出てしまうようになります。

幼い頃に未解決のまま心の奥にしまった感情が、夫の不倫などを通して、再び愛着の喪失体験をすることにより、まるで心が幼い頃に戻ったように、その当時の痛みと不安がありありと再現されてくるのです。

この時、愛着喪失の体験そのものよりも、本人がその体験をどのように受け止め理解したか、ということが重要になります。

小さい頃には受け止めきれなくても、大人になった今なら消化できる、ということもあります。

カウンセリングを受けることで、現在の問題とともに、過去の未解決の課題を同時に癒していく、ということが可能なのです。

親の未解決の課題は、子供にも影響を与える

親が愛着喪失体験を、未消化のままに潜在意識に持ち続けていると、それは子育てにおいても影響を及ぼしてきます。

自分の子供と愛着を形成するときに、不安を覚えやすく自信がなかったり、どこかで怯えてしまったりするのです。

このような親の心理状態は、子供の信号を正確に読み取って適切に対応してあげることを妨げます。

そのため、子供は親の不安を感じ取り、不安定愛着となりやすいのです。

ここから前に進むためには?

夫の不倫は、妻との愛着関係に決定的な打撃を与えるものです。

しかし、だからと言っていつまでも悲嘆にくれ、愛憎入り混じった思いに心を焦がす毎日を送っているわけにはいきません。

人間には、トラウマ的体験を乗り越える、心の回復力が備わっています。

悲嘆を乗り越える速度とプロセスには、個人によって大きな差がありますが、次第に回復に向かっていくのが一般的です。

 

ある人は、夫や不倫相手に対する怒りと復讐心を燃やすことで、いつまでも抗議の状態に留まっています。

またある人は、自分を責めすぎて、やはり悲嘆のプロセスを乗り越えることができません。

起ってしまったことは、起ってしまったこととして、現実を受け入れていきましょう。

 

愛着喪失の悲嘆を経験した後は、自分にはそれを乗り越える心の力が備わっていること、夫への愛着を一度失ったあとでも、新たな関係性を結ぶことが出来ることに気づいてほしいと思います。

実際、夫の不倫を経験したことで、幼い頃の不安を満たそうとしたしがみつくような愛着から、相手を理解し、抱擁することのできる成熟した愛着関係を結びなおし、夫婦関係が大きく改善された方々もいます。

人生で起ってくることは、たとえ辛いことであっても、私たちの内面を映しだし、より成長するための機会を与えてくれるものなのです。