本当の自分にアクセスし、ゆるぎない自分軸を手に入れる
夫婦が上手くいくためには、それぞれが自分軸を持つことが大切
夫婦の相談をしていて思うことは、夫婦という近い関係においても、夫と妻がしっかりとした自分軸を持つことが大切だということです。
夫婦というものは、ある意味お互いに依存した関係です。
妻は夫の収入に依存し、夫は妻に家事全般や育児を任せることが多いかもしれません。
自分軸を持つということは、すべてを自分で請け負って、全く相手に依存しないことを意味するのではありません。
人は何らかの形で、他人に依存してしか生きることが出来ません。
自分軸を持った人というのは、自分の価値、目標、信念を明確に自覚している人のことです。
どんな人にも価値があり、目標や信念がありますが、それを自覚していないと自分軸を失い、相手の評価によってしか、自分の価値を感じられなくなったり、他人の意見に左右される人生となってしまいます。
幸せじゃないことを、誰かのせいにしていませんか?
自分が一生懸命やったことを、相手が認めてくれないときや、喜んでくれると期待したのに、相手が正反対の反応をするときには、ムシャクシャして腹が立ちますよね。
「夫が変わらない限り、幸せにはなれない」
「あの人がいる限り、職場はつまらない」
こんな気持ちになることはありませんか?
こんな時、私たちは「相手のせいで、自分が幸せでない」と感じてしまいがちです。
でもそれでは、自分が幸せになる権利を、相手に明け渡してしまっていることになります。
自分軸をきちんと持っていると、相手の言葉に腹が立ったとしても、すぐにまた平常心に戻ることができます。
それは、「自分の価値は、相手がどう思うかに左右されるものではない」ということを知っているからです。
相手が怒っていたとしても「今日はたまたま機嫌が悪いのだろう」「何かいやなことでもあったのだろう」と受け止め、それによって自分が傷つくことなく、すぐに安定した心を取り戻すことが出来るのです。
本当の自分軸を持つには?
自分軸という言葉がよく使われるようになりましたが、本当の自分軸とは何でしょうか?
自分の好みやスタイルをよく心得ているカッコいい女性を思い浮かべる方も多いかもしれません。
あるいは、自己主張が激しく、妥協しない人が自分軸のある人だと誤解する場合もあります。
自分の考えをはっきり持っていることと、頑固で人の意見に耳を傾けないこととは、全く違います。
自分軸を持った人は、「自分の物の見方と他人の物の見方が違う」という事実を、しっかり受け入れることができています。
だからこそ、相手が自分とはまったく違う意見を言ったり、自分の期待通りに行動しなかったとしても、それをそのまま受け止めることができるのです。
相手と自分が違う人間なんだということを、はっきり知ることが、依存からの脱却であり、自分軸を立てる第一歩となります。
自分自身を知ること
多くの人が、自分で自分のことをよく知っていると思っていますが、実はそうではありません。
私たちの心の中には、4つの部屋があると言われます。
第一の部屋は、自分にも他人にもよく見える部屋。
第二の部屋は、自分には見えないけれども、他人にはよく見える部屋。
第三の部屋は、自分には見えても他人には見えない部屋。
第四の部屋は、自分にも他人にも見えない部屋です。
あなた自身が「自分はこういう人間だ」と思っている姿と、他人が見ているあなたの姿とは、必ずしも一致しません。
自分を知るには、鏡となってくれる相手の存在が必要です。
あなた自身はわからないけれども、相手からは見える部分があるという事実を受け容れ、自分の枠から一歩外に出て、客観的に自分を眺めることが出来た時、自分に対する理解が大きく広がります。
自分が何に捉われ、どういうパターンで思考しているのか、ということを客観的に見ることが大切なのです。
あなたからは見えない心の世界を知る
先ほどの4つの部屋のうち、第二と第四の部屋は、あなたからは見えません。
それは潜在意識、或いは無意識と呼ばれる領域です。
実は、私たちの感情や習慣などは、そこから出て来るものがほとんどなのです。
あなたが文字通り、無意識的に行動したり、感じたりすることの中に、あるパターンが存在することが分かれば、それを見直してみるべきです。
人は皆、自分自身のフィルターを持っていて、それを通して世界を観ています。
あなたが現実だと思っている世界は、本当の世界の映し絵に過ぎません。
「主観」と呼ばれるフィルターによって、人は見たいものだけを見、聞きたいことだけを聞いているのです。
そして、そのフィルターは人によって全く違います。
個々人のフィルターがどのように作られたかは、その人の生い立ち、先祖から受け継いだものなどが、大きく影響しています。
本当の私・究極の自分軸に至るためには
私たちが普段、自分だと思っているものは、「自我(エゴ)」と呼ばれる意識の世界を意味します。
けれども本当の私、「自己(セルフ)」は、それを超えたところに存在します。
心理学者カール・ユングは、自己のありかたについて、
「自己(Self)は心の全体性であり、また同時にその中心である。これは自我(Ego)と一致するものでなく、大きい円が小さい円を含むように、自我を包含する」
と言っています。
ユングの意味する自己(Self)とは、意識と潜在意識を含めた心全体の中心的な存在であり、時空を超越して自分のルーツに繋がっています。
強く願っていることが思い通りにならないのは、自我の願いと自己の願いが食い違っているからかもしれません。
本当の自分軸を突き詰めると、それは自己(セルフ)に到達します。
カウンセリングを通して、自然な形で潜在意識にアクセスし、親や先祖から受け継いだ内容や、潜在意識に貯蔵された様々な感情や信念などを発見していくことで、新しい自分との出会いを体験できることでしょう。