裏切られる勇気~信じるためにとるリスク
不倫した夫を信じることができない
夫の度重なる不倫などで、夫のことが信じられなくなった時、夫の謝罪をどうしても受け入れることができない、というご相談をよく受けます。
一度裏切った夫を、もう一度信じて結婚生活を持続していった場合、いつかまた裏切られるのではないか?という、とてつもない恐怖感。
再び裏切られる苦痛に直面するくらいなら、「いっそのこと離婚してしまった方がいいのでは?」と考える方も多くいらっしゃいます。
これは、PSTD(心的外傷後ストレス障害)の苦しみに匹敵するものです。
裏切られたときの精神的打撃があまりにも大きくて、その後時間が経ってもトラウマから立ち直れずにいる状態です。
夫の不倫が終わっても、不倫発覚時の衝撃的な場面がフラッシュバックしたりなど、妻は長引く後遺症に苦しめられます。
夫の不倫が妻に与える本当の弊害
夫の不倫を経験した妻は、とても否定的な自己イメージを持つようになります。
裏切られた自分
騙されていた自分
捨てられた自分
これらの自己イメージは、妻をさらに悲惨な気持ちにさせるばかりでなく、自己肯定感を下げてしまいます。
不倫の本当の弊害は、妻の自己肯定感をどっと下げてしまう、ということにあると言えます。
前向きな未来を描けない理由
不倫した夫の立場では、「もう済んだことだから、不倫をやめた時点ですべて元通りになる」と考えるかもしれませんが、妻にとっては、決して「もう済んだこと」ではありません。
妻の心に刻印された否定的な自己イメージは
裏切られ続ける自分
騙され続ける自分
捨てられ続ける自分
として、未来の自己イメージにも影響を及ぼします。
そのため、過去を水に流して幸福な未来を描くことができないのです。
妻がいつまでも過去にこだわり続けて、終わりのない精神的苦痛の中にとどまり続けるのは、こうした打ち砕かれた自己イメージのためだと言えるでしょう。
妻自身が本当は望んでいることは?
では、妻が本当に望んでいるのは、夫を恨み続けることであり、離婚することなのでしょうか?
もしあなたが、夫を許せないでいるならば、こんな時こそ本当の自分の気持ちに向き合ってみる必要があります。
でもそれは、非常に怖いことでもあります
例えば
夫を許したくない
夫を信じられない
夫と離れてしまいたい
という気持ちの背後に隠れている本当の思いが
本当はまだ夫を愛している
夫をもう一度信じたい
もう決して不倫などせずに、私だけを見つめてほしい
だとしたら、まずあなた自身がその思いを認める必要があります。
そうできないのは、その思いを認めてしまったら、それが再び否定されたり裏切られたときに、立ち直れないほどの打撃を受けるのが怖いからなのです。
だからこそ、「自分が相手を嫌い」という感情にすり替えたり、自分から相手を離れていこうとしてしまいます。
そのため、夫の謝罪や愛情表現を、素直に受取れなくなってしまうのです。
夫の歩み寄りを拒否し続けると…
夫が反省して歩み寄ってきている時、夫は何とかあなたとよりを戻したいと考えています。
つまり、追いかけてきている状態です。
でも、それも永遠には続きません。
男性は、ある程度努力して、可能性がないと判断すると、ある時点で見切りをつけてしまいます。
なので、夫がまだ追いかけてきているときに、自分の気持ちをすり替えるのをやめて、夫を許し受け入れていくことです。
そうでないと、夫が諦めて去ってしまった後で、本当の自分の気持ちに気づいて追いかけても、「時すでに遅し」で、それこそ本当に後悔することになってしまうかもしれません。
不倫のトラウマから立ち直った人の選択
ところが、同じような目にあっても、比較的早くトラウマから立ち直り、自分の幸せに向かって着実に歩き始めていく人もいます。
重度の不倫依存症で、今もなお不倫進行中の夫に対して
「この人のお陰で私は不幸のどん底に陥れられた」
という被害者意識を手放して、自分のために夫を許し、自分の幸せは自分の手でつかみ取る、という選択をした人たちです。
もちろん、彼女たちが最初から、簡単に気持ちを切り替えられたわけではありません。
夫を信じては裏切られる、という心がボロボロになるような体験を繰り返した結果、夫が信じるに値するかどうかに関係なく、夫を許し恨みを手放すことが、結局は自分の幸せにつながる、ということを悟ったからなのです。
裏切るかどうかは夫の課題であり、その恐怖におびえて一生を過ごすのではなく、信じるという選択、許すという選択をする主体性こそが、彼女たちの立ち直りを早めていたのです。
最後に…
裏切られることへの恐怖から、自分の本当の気持ちに嘘をつき続けるとしたら、それは本当の幸せから遠ざかることです。
相手を信じる時には必ず、裏切られるリスクが伴います。
そのリスクを取る勇気こそが、今のあなたに必要なものかもしれません。