不倫した夫を、まだ愛しているのかどうかわからない時
普段の結婚生活の中で、自分が本当に夫や妻を愛しているかに真剣に向き合う機会は、意外と少ないものです。
何年も一緒に暮らす中で、夫婦はお互い空気のような存在になっていくのが普通です。
ところが、信じていた夫の浮気や不倫・風俗通いなどが発覚すると、それまで安心していた夫婦の信頼関係がガラガラと崩れ、「自分はこの先、この夫と暮らしていけるのだろうか?」という疑問が頭をもたげてきます。
たとえば、夫が不倫した場合の夫婦修復で一番問題になるのが、不倫の後に起こる妻の心の葛藤です。
「不倫後ストレス障害」とは
妻の心の葛藤は、不倫後の次のような流れの中で起こりがちです。
夫の不倫が発覚
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夫と話し合いの末、不倫相手と別れることを約束
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家庭ではいい夫になったが、不倫相手とはなかなか切れない様子
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夫のことを信頼できず、やはり離婚するべきかと妻が悩む
特に、夫が時々不倫相手と連絡を取っているのを見つけたり、その事実を隠そうと嘘をつく姿を見たとき、妻の心には言い知れぬ不安と恐怖が巻き起こります。
私はこれを、「不倫後ストレス障害」と呼んでいます。
夫の不倫から受けるダメージは、「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」に匹敵するものだからです。
人は誰でも安心できる未来を望むもの。
夫が戻ってきたものの、「また不倫を繰り返すのではないか?」という不安があれば、そんな不確かな未来を回避したくなるのは、当前です。
しかも家庭に戻ると約束した後も、不倫相手と完全に切れていないとすれば、なおさら未来を信じる気にはなれません。
結果的に「これ以上傷つかないためには離婚した方がいいのではないか?」ということになります。
不倫後の葛藤は、あなたの心をすり減らす
実はこの葛藤のプロセスは、不倫後の夫婦修復において、避けて通れない道なのです。
心の中の葛藤と闘わなければならないため、最も辛い時期だとも言えます。
修復したい気持ちと、離婚して楽になりたい気持とが、一日のうちに何度も振り子のように行ったり来たりして、決断できない自分自身に嫌気が差したり、疲れきってしまうことでしょう。
人間が一番心をすり減らすのは、他でもなく、自分自身の中に迷いや葛藤がある時です。
離婚か修復か、心が決まれば、意外と楽になれるものなのです。
エンドレスの迷いから抜け出すには?
こうしたエンドレスの迷いから抜け出せない時は、こう考えてみることが助けになるかもしれません。
たとえ今この時点では夫を信じられないとしても、「夫を信じて夫婦を修復したい」と願っているのも、あなたの心なのです。
だとしたら、もう一度だけ夫を信じて無条件の愛を与えてみてはどうでしょうか?
たとえ夫が不倫相手とまだ切れていなくても、夫が変わることを期待せずに、真心を込めて夫に対していくのです。
期間を決めて努力する
夫婦修復は、愛の投入なしにはできません。
ところが、これは実際やってみるとなかなか難しいことです。
なぜなら、愛を投入した分、夫があなたの思い通りに変わってくれることを期待してしまうし、見返りが得られない場合、自分が大損したような気がしてしまうからです。
こんな時は、期間を決めて努力することをお勧めします。
例えば3か月・6か月・1年など、自分ができると思う期間をあらかじめ決めておいて、夫が変わることを期待せずに、愛を投入してみてください。
期間を決めることで、無期限で愛を投入するよりは、ずっとやりやすくなるはずです。
愛を投入することで得られる4つのメリット
1.葛藤の苦しみから解放される
迷いや葛藤は、あなたの精神エネルギーを消耗します。
心が決まることで、余計なエネルギーを使う必要がなくなり、気持ちが楽になることでしょう。
また、そのエネルギーを、より生産的なことに向けることができます。
2.自分の本当の気持ちがわかる
ある期間、愛を投入してみることで、あなた自身の本当の気持ちがわかるようになります。
「自分はやっぱりこの人を愛したいんだ」と感じるか、「こんな人に愛を注ぐこと自体が意味がない」と感じるかによって、自分の本音がわかるようになります。
3.やり残し感がない
万一離婚することになっても、愛しきったという達成感があるので、あなたの中にやり残し感がありません。
これだけやってみてもダメだったのだから仕方がない、と諦めがつきます。
その後の人生において、未練や後悔を残さずに再出発ができます。
4.家系的に負債を残さない
先祖たちは子孫が幸せな家庭を築いてくれることを願っています。
旦那さんの先祖は、夫婦修復のために必死に努力するあなたを、大変貴重に思うはずです。
旦那さんの先祖からの祝福が、あなたの後の人生に降り注ぐことでしょう。
5.実際に夫が変わっていく
夫が変わることを期待せずに、無償の愛を与えて続けることによって、夫があなたの愛を実感して本当に変わっていくことがあります。
悪いことをしたのは自分なのに、そんな自分を許し愛し続けるあなたの姿に、反省と感謝の思いを抱くことでしょう。
最後に…
これを読んで、「不倫した夫に愛を注ぐなんてバカみたい!」と感じた方は、迷いなく離婚したらいいと思います。
けれども、私たちの心は時には簡単に割り切れない時があります。
夫の不倫自体は許しがたいことだとしても、心の底では別れを望んでいない自分がいる、という場合、自分の心に徹底的に向き合ってみる必要があります。
不倫した夫に見返りを求めない愛を投入するのは、夫のためではなく、あなた自身のためです。
夫に嫌われた・不倫された・離婚された。
だから仕方がない。
という受け身的な生き方から自由になるためです。
「愛する」という能動的な行動を通して、あなたが愛したいから愛する、という主体性を取り戻していきましょう。