夫の不倫発覚直後のパニックを克服する
不倫された時のあなたの脳はどんな状態?
夫婦問題の中でも、妻に最も深刻な打撃を与えるのが、夫の不倫です。
夫から不倫されたほとんどの女性たちが、次のような状態を経験しています。
♦脳がパニック状態となり、思考のコントロールを失う。
♦自分が求めるものにフォーカスできなくなる。
♦ネガティヴな感情に支配され、何事も手につかない。
♦夫との最悪の結果を想像して引き寄せる。
♦夫が自分を裏切っている悪いイメージが、繰り返し浮かんでくる。
さてここで、一般的な成功哲学が教えるマインドセットについて考えてみましょう。
♣意識の力で脳を効果的にコントロールする。
♣求めるものにフォーカスする(願わないことにフォーカスしない)。
♣ネガティブな感情に支配されない。
♣願う結果を想像して引き寄せる。
♣自分の目標がすでに成就しているというビジョンを持つ。
両者を比較してみると、不倫された妻たちの頭の中は、成功哲学が教える法則とは正反対の状態になってしまっているのがわかると思います。
一口で言えば、脳がパニックに陥り、意識の力でコントロールできない状態になっているのです。
こんな状態のまま、いくら「夫婦円満をイメージしてください」といっても、ムリな話ですよね。
しかしこのままでは、不安と恐怖が望まない未来を引き寄せ、事態はますます悪化していきます。
夫の不倫によって、妻の心がここまで打撃を受けてしまうのは、なぜなのでしょうか?
安全基地を奪われた不安と恐怖
ボウルビーの研究で有名な愛着理論では、幼い子供が、母親など直接養育してくれた人との間に築いた愛着の絆が、安定していたかどうかによって、その後の人間関係や人生観が左右されると言われます。
安定した愛着の絆を築いた子供にとって、母親(養育者)は心の安全基地となり、母親に見守られているという安心感から、外の世界に向かって、より積極的に対していくことができるのです。
愛着理論は、子供だけでなく、大人にも当てはまります。
人が結婚するのは、愛着の絆を作りたいためであり、心の安全基地を持ちたいからなのです。
ところが、夫の浮気や不倫は、愛着の対象が剥奪されることを意味し、小さな子供が母親を突然失ったときに感じるような打撃を、妻の心にもたらします。
愛着でつながった安全基地である夫が、突然奪われることで、人間の根本欲求である安全の欲求が脅かされ、世界が足元からガラガラと崩れるような、激しい不安と恐怖を伴うパニック状態に陥ってしまうのです。
不安と恐怖から逃れるための脳の選択
この状態から逃れるために、妻の脳が選択することは二つに一つです。
不安と恐怖を怒りに変えて相手を攻撃するか、あるいは、これ以上不安を感じないようにするために、相手への愛着を切り捨てるか、です。
1.不安を怒りに変えて、相手を攻撃する
見捨てられ感に堪えきれず、不安と恐怖を怒りに変えていく場合があります。
夫が心から反省して謝罪したとしても、妻が決して許さない、などの行為がそれにあたります。
また、夫と不倫相手に苦しみを味わわせるために、探偵事務所を使って証拠を集め、慰謝料を請求するなどの法的処置をとる人もいます。
ところが、このようなやり方では、復讐は果たせても、夫婦の幸せを再び手に入れることは難しくなります。
妻に攻撃されたことで夫の攻撃性にもスイッチが入り、妻を守るどころか、不倫相手を守るなどして、夫婦は敵対関係になってしまいます。
それによって、妻の傷はさらに深くなり、関係修復はますます難しくなります。
お互いに傷つけあって、相手に不信感を抱いてしまうと、信頼関係を再構築するための忍耐の期間が必要になります。
2.相手への愛着を切り捨てる
自分がこれ以上傷つかないために、相手への愛着を諦め、自分は相手を愛していなかったんだ、ということにすることがあります。
悲しみや寂しさという感情を否定しシャットアウトするため、ほかの感情を感じる感受性までも失われていきます。
次第に、生きることに喜びや意欲を見いだせなくなり、うつ状態になっていきます。
悲しみや寂しさを抑圧したからと言って、感情がなくなるわけではありません。
放っておくことで、だんだん怒りに変わり、心の深いところで夫への恨みとしてこり固まってしまうのです。
自分の感情にしっかり向き合い、夫以外の安全基地を探すこと
それでは、どのようにして心を前向きにしていけばよいのでしょうか?
まず、今感じている感情から逃げないで、自分の感情を見据えてみることです。
“今私は、とてつもなく悲しくて辛い…夫から捨てられたように感じている…自分に価値がないように感じている…”
今、自分が感じている感情を、ありのままに直視してみます。
涙がとめどなく流れるに任せて、感情を味わい尽くすことによって解き放っていくのです。
感情のエネルギーが放出されることによって、次第に脳が落ち着いてきます。
脳がパニックを抜け出せば、徐々に修復のための前向きな行動に入っていくことができます。
ただし、愛する人との間で度重なる愛着の傷を負った経験のある人にとっては、これは大変な作業となるので、一人ではやらないでください。
ネガティブな感情・記憶・思考のループから抜け出せなくなり、さらに辛くなってしまう場合があるので、ご注意ください。
不倫された側の痛手は、例えれば、心に第三度のやけどを負ったようなものです。
自然治癒を期待するのは難しい状態です。
放っておけば、心の安全基地を失ったまま、不安でうつろな日々を送ることになるかもしれません。
まずは、何でも話せて、あなたの心をしっかり支えてくれる誰かを見つけるところから始めましょう。
それは、親友でも肉親でも、カウンセラーでも構いません。
受け入れられた、という安心感の土台の上で、心の自然治癒力が活性化されると、徐々に心の傷が癒え、夫婦修復に向けて前向きな行動をとれるようになります。
心の傷も、体の傷を治すのと同じように、具体的な手当てが必要なのです。