不倫による心の傷を癒すには?
夫の不倫による妻の傷が癒えるには数十年かかることも
不倫は、夫婦間の信頼関係を根底から揺さぶるできごとです。
そこにどんな理由があったとしても、不倫された側は、深い喪失感を味わうことになります。
一般的に、夫の不倫によって傷ついた妻の心が癒えるには、少なくても一年はかかると言われます。
しかしそれは、夫が心から反省して妻の元に戻り、その後に再び不倫問題を起こさなかった場合に限ります。
時には、夫が不倫相手との関係を完全に清算できないままに、妻に秘密で水面下での交流を続けてしまいますが、それが発覚すると妻の心の傷は二倍三倍に深くなってしまいます。
このような状態に陥ると、普通なら数年で立ち直れる不倫の傷が、何十年もの間続くこともあります。
癒されない心の傷がもたらす体の症状
もしあなたが、このような状態に陥っているにもかかわらず、結婚生活を続けていかなければならないとしたら、心の傷は身体に様々な症状をもたらすかもしれません。
長期的なストレスによって免疫力は低下し、感染症にかかりやすくなり、体の中で慢性的な炎症が起こるようになります。
病院に行っても特別な原因が見つからないため、不定愁訴として扱われることが多く、本人はなすすべがないままに、辛い症状に悩まされ続けます。
このように、心と体は密接につながっているため、夫の不倫問題が妻の心身の健康に深刻な影響を及ぼすのです。
脳がどんよりした曇り空状態になる
夫の不倫は、妻の脳にも大きな影響を与えます。
信じていた存在からの裏切り、愛着の対象がはく奪された感覚は、脳をパニックに陥れ、多大なストレスによってコルチゾールなどのストレスホルモンが多量放出されます。
長期的なストレスにさらされることで、コルチゾールの多量放出が続くと、脳の海馬が委縮し、幸せ感や満足感が低下するため、ひどくなるとうつ病になることもあります。
それはまさに、脳の中に雨雲が重く垂れこめたような状態。
気分転換をしてポジティブな考えや感情を持つことが難しくなり、考えたくなくてもネガティブなグルグル思考に囚われてしまいます。
また、コルチゾールの分泌は、免疫系・中枢神経系・代謝系など、身体のさまざまな機能に悪影響を及ぼし、免疫力の低下や慢性的に体調がすぐれない状態をもたらします。
ポジティブな考えがどうしても出てこない時
このような状態から脱するためにはどうしたらよいのでしょうか?
夫婦カウンセラーの中には、次のようなアドバイスをする人もいます。
「夫の不倫のことは考えないようにしましょう」
「幸せな未来を思い描くようにしましょう」
もちろん、それが出来たらどれほど楽でしょうか?
しかしそれは、口で言うほど簡単なことではありません。
長期的な心の傷からくるストレスによって、脳の状態が固まってしまうからです。
簡単に言えば「気分転換しづらい脳」「ポジティブな思考や感情が出づらい脳」の状態になっているのです。
こうした脳の状態を変えていくには、単に見方や考え方を変える、という努力だけではなく、脳内環境に直接働きかける、よりソマティック(身体的)なアプローチが効果的だと言えます。
脳内環境を変えるための簡単な方法
1.瞑想
脳内環境を変える最も効果的な方法は、瞑想です。
最近では、マインドフルネス瞑想をはじめ、ヨーガの哲学を取り入れた様々な瞑想法が紹介されています。
しかし、実際にやってみるとなると、とっつきづらい、という人も多いことでしょう。
瞑想をしようとすると、様々な雑念が心の中に沸き上がり、それに心がとらわれてしまいます。
座禅道場のように、雑念に囚われていると「喝!」と言って後ろから叩いてくれる人がいるわけでもないので、自分一人で自然に湧いてくる雑念をコントロールすることは、簡単ではありません。
マインドフル瞑想は、体の感覚に注意を向けることによって、「今・ここ」に集中することを助けます。
たとえば、座っている椅子の背と触れ合っている背中の感覚や、呼吸などに注意を向けるのです。
同じ原理を利用して、マインドフルな状態で家事や散策を楽しむこともできます。
料理という行為自体に注意を向ける、目に映る景色自体に注意を向けることが秘訣です。
次々と湧いてくる雑念に心のエネルギーを奪われることがなくなると、心が軽くなり、すっきりと整理されていきます。
2.音楽鑑賞
瞑想が中々難しい、という方には、音楽による気分転換をお薦めします。
音楽は波動であり、脳波に直接作用する力があります。
脳に安定をもたらす波長を出すサブリミナル・ミュージックなどは、聞き流すだけで気持ちを安定させてくれます。
その他、自分が落ち着けると思う音楽をいくつか準備しておくといいでしょう。
脳科学者の中野信子さんは、ヘヴィメタルの大ファンですが、騒々しい音楽も、彼女にとってはストレスを発散し、気持ちを安定させる効果を持っていると言います。
3.自分の好きなものを意識的に集める
ストレスから曇り空状態になった脳は、喜びの感情に対して鈍感になります。
「何をしても楽しくない」「何をしても気持ちが晴れない」状態が続きます。
万年曇り空状態の脳からは、楽しい考え自体が湧いてこなくなります。
いくら「ポジティブ思考をしよう」と思っても、無理があるのは、そのためです。
それよりも、自分が心地よさを感じるものを身近に集めることで、少しずつ脳を活性化させていきましょう。
脳は五感を通して事物を認識するために、五感を通したアプローチが効果的です。
自分にとって、目で見て心地よいもの、耳で聞いて心地よいもの、味わって心地よいもの、嗅いで心地よいもの、触って心地よいものを、紙に書き出してみます。
次に、それを自分の手の届くところにおいて、楽しむようにします。
その時、脳はリラックスし、一時的にストレスから解放されます。
物を購入する時も、「必要だから」という観点よりも、「好きだから」という観点で選ぶようにし、時間の使い方も、「タスク中心」より「自分をもてなす」時間を持つように、意識的に心がけていきましょう。
まとめ
いかがでしたか?
不倫による心の傷は、本人が思っているよりも深いものです。
ちゃんとした手当をすることで、脳が慢性的な曇り空状態になることを防ぎ、本来の明るく快活な心を取り戻すことが、夫婦関係修復においてもプラスになります。
ここにご紹介した内容は一部にすぎませんが、カウンセリングを通して、自分自身の心の状態をチューニングすることも、非常に効果的です。
心の傷の弊害は見落とされやすいため、本人も気づかないまま身体症状を抱えて苦しんでいる場合が多いですが、一日も早くその辛い状態から回復し、幸せな人生を満喫できる心の自由を取り戻しましょう。