離婚の危機に直面した時、どうすればよいですか?

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配偶者の浮気、不倫、DV、モラハラ、セックスレス、家庭内別居で悩んでいる方や、そこまで深刻でなくても頻繁な夫婦喧嘩や気持ちのすれ違いで悩んでいる方々は、現在の日本に驚くほど沢山います。

今や3組に1組が離婚するご時世。

もともと忍耐強く世間体を気にする日本人社会には、欧州諸国に比べ離婚はそれほど多くありませんでしたが、昭和40年頃から離婚件数は増加の一途をたどり、平成14年でピークを迎えた時には実に4倍にもなりました。(出典:厚生労働省「離婚件数の年次推移」)

それに伴い、最近では民間での夫婦カウンセリングも盛んになってきています。

夫婦カウンセリング後進国の日本

早くからカウンセリング文化が発達していた欧州国家に比べると、日本は30年遅れを取っていると言われます。

特に夫婦間の問題を第三者に相談するということに抵抗があるという理由で、一人で悶々と悩んだ末、インターネットで見つけた情報で何とかしようとするケースが多いのが事実です。

アメリカのように、夫婦問題が起こると、夫婦が一緒にカウンセラーを訪ねるという習慣は、日本ではまだまだ根付いていません。

 

夫婦の問題解決には、理想的には夫婦が一緒にカウンセリングを受けるのが一番です。

しかし、今の日本では現実的に難しい状況と言えます。

「カウンセリングを受ける」ということを「自分に問題があって、それを直さなければならない」という意味合いに誤解している人が多く、「自分には問題ないから必要ない」と必要性を実感できない場合が多いのです。

そこで夫婦問題の被害者になっている側が、何とかしなければ、と焦る思いでがたどり着くのが、ネットでの悩み相談サイトや、夫婦関係修復マニュアル、離婚相談所、探偵事務所、夫婦カウンセラーなのです。

夫婦関係修復マニュアルは、本当に効果があるのか?

「このマニュアルに従えば、夫婦関係は必ずよくなります」という謳い文句で、夫婦関係に悩む人たちを惹きつける、ネット上のコンテンツをよく目にします。

利用者の体験談をふんだんに載せて、まるでダイエットの薬を売り込むように「この法則に従えば、必ず修復できる」と書かれています。

夫婦問題でパニックになり、藁をもすがる思いの人は、このような説得力のある宣伝に、いとも簡単に引っかかってしまいます。

 

では、それらのマニュアルが実質的な効果を生み出すのでしょうか?

答えは、イエスでもノーでもありません。

夫婦関係修復マニュアルには、確かに有用な情報があります。

夫婦間の男女の違い、相手を喜ばせるコミュニケーション術、ポジティブ・シンキングや心の持ち方などの自己啓発的な内容を通して、自分自身を改善していくことによって、相手との関係が良くなる、というのは事実です。

 

しかし、一口に夫婦問題と言ってもその様相は千差万別です。

また、夫婦の年齢、結婚当時の状況、それぞれの性格、気質、育ってきた家庭環境などが違うため、十把一絡げに「この方法は万民に効く」というものは、ないのです。

人間関係の原則を満たすことで、ある程度の改善が望めることは事実ですが、マニュアル一つで全てが解決されるわけではありません。

修復?離婚?どちらに転んでも得をする離婚相談所

離婚相談所というものがあります。

本来は、離婚しようとしている人たちに、出来るだけ損にならない離婚方法や、法的な手続き、有利な離婚条件をアドバイスするのが目的です。

最近では、良心的な離婚カウンセラーさんたちが、離婚に踏み切ろうとする夫婦を調停させて、もう一度夫婦をやり直させるということもやっています。

どうしようもない場合を除いては、離婚を避けるに越したことがないので、これは良いことと言えます。

 

しかし離婚カウンセラーによるカウンセリングは、離婚をとりあえず避ける、決定までの時間稼ぎをする、といった側面が強く、夫婦の問題の根本解決とはならない場合があります。

稼いだ時間の中で、どのように修復していくかをコーチングしてくれるわけではないのです。

また、たとえ夫婦関係を修復出来なかったとしても、本来の離婚という目的を達成していけばよいだけなので、クライアントが離婚したとしても、しなかったとしても、どちらに転んでも良い、ということになります。

夫婦関係修復に、グループセッションは有効か?

カウンセラーとクライアントが、一対一で向かい合ってする個人セッションとは異なり、カウンセラーを中心として複数の参加者が集まって行なうのが、グループセッションです。

人前で自分の悩みをさらけ出すということ自体が大きなプレッシャーになりますが、同じ悩みを持つ者同士が集まって、好意的に話を聞きあうことで、共感による癒しや、共鳴による気づきの効果を得ることが出来ます。

アメリカでは、脱アルコール依存症の治療や、インナーチャイルドの癒しのワークなどに、グループセッションが用いられています。

 

夫婦カウンセリングにおいて、グループセッションが効果的なのは、アサーション・トレーニングやコミュニケーション技法のロールプレイなどに使う場合です。

グループセッションには、グループ全体の心理エネルギーを適切な方向に導いていけるだけの力量のあるカウンセラーが中心に立つことが望まれます。

また少なくとも数ヶ月の個人セッションを通して、十分な信頼関係を作ったあとにグループセッションへ参加するのが望ましいと言われます。

カウンセリングによって得られるもの

たとえ配偶者が一緒でなかったとしても、一人でカウンセリングを受けることに、効果はあるのでしょうか?

本来カウンセリングとは、カウンセラーがクライアントの心に共感的理解を持って寄り添うことで、クライアントが自分の心と向き合い、新しい気づきや理解、洞察を得ることで内的に成長し、現在処している問題や悩みに主体的に取り組んで行けるようにサポートすることです。

このプロセスを通して、クライアントは夫婦の在り方を違った観点から見つめることが出来るようになりです。

 

カウンセリングにおいては、クライアントがどう行動すべきかについて、カウンセラーが指示を出すことはしません。

多少の助言はあったとしても、クライアント本人が納得し、選択することによって行動に移していきます。

カウンセリングとは、クライアントが「自分は本当はどうしたいのか」を気付かせてくれる作業とも言えるでしょう。

自分に合ったカウンセラー選びとは?

数あるカウンセラーの中から、力量があり、かつ自分に合ったカウンセラーを選ぶことは簡単ではありません。

ことに夫婦問題専門のカウンセラーは、心理学やカウンセリングの知識と共に、夫婦問題に特化した豊富な知識と修復のスキルが要求されます。

 

例えば夫の不倫で悩んでいる女性ならば、「不倫された妻のための」「夫の不倫・浮気を解決する」などを看板にしているカウンセラーに心が惹かれることでしょう。

「不倫専門カウンセラー」と言っても、その中には不倫された人の心の傷をケアするものから、「夫と不倫相手を別れさせる」という外的な目的に徹し、夫に不倫の証拠を突き付けたり、不倫相手の女性を牽制して不倫行為を終わらせることに焦点を置くものまで、様々です。

中には探偵事務所や興信所まがいのことまでして、配偶者の不倫相手を調査し、別れさせるという強硬手段を取っているところもあります。

 

法に訴えたり、外的な圧力を加えれば、不倫相手は退散し、夫は家庭に戻ってくるかもしれませんが、夫婦関係自体が修復されていなければ、家庭に愛が戻ってくることはありません。

お互いに対する不信と恨みの思いが充満する中で一緒に暮らしたとしても、それは精神的な監獄にいるようなものです。

不倫相手と別れさせる、という目標は達成したものの、幸せとは程遠い結果になってしまうのです。

 

以上のことを踏まえて、カウンセラーを選ぶポイントをまとめると、まずカウンセリングの本来の目的である「心の癒しと成長」ということに重点を置いているカウンセラーを選ぶことが、第一のポイントです。

またカウンセリングを受けて、心が癒され元気になったけれども、実際の夫婦関係が改善されなければ、それもまた十分とは言えません。

夫婦の問題を改善するには、次のことを見直す必要があります。

 

♣男女の違いについての正しい知識

♣自分と配偶者の性格に対する理解

♣原家族(その人が生まれ育った家庭)での人間関係

♣傷ついたインナーチャイルドが、夫婦関係に及ぼす影響

♣潜在意識が夫婦関係に及ぼす影響

♣家系的な要因

♣夫婦間のコミュニケーションのパターン

夫婦の在るべき姿とは

夫婦とは、男性と女性という全く違う属性を持つ個人が、婚姻によって結ばれ、ゼロ親等という親子よりも近い関係になることです。

また夫婦愛の中には、性愛、母性愛、父性愛、兄弟愛、友愛などが含まれていて、夫婦の関係の中で、様々な愛を体験することができます。

夫婦関係を修復するとき、愛というものの本質を正しく認識することがとても大切です。

夫婦や家庭は、愛について学び、それぞれの人格を高めるための学びの場です。

夫婦問題が起こることは辛いことですが、それによって夫婦の愛の在り方を見つめ直し、自分自身が成長するための契機となるならば、長い目で見る時、それはプラスとなります。

夫婦関係修復の本質は、単にテクニックやスキルによるのではなく、夫と妻の心の成長によってなされていくのです。