セックスレスについて考える ― 問われる夫婦の絆

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日本はセックスレス大国であることをご存知でしたか?

日本は世界の中でもセックスレスが非常に多い国です。

世界41カ国を対象に行われた調査によると、性生活の頻度・満足度共に、日本は最下位に位置しています。

日本の既婚者を対象にした別の調査では、1か月以上「セックスレス」が続いているの人の割合は、2014年には約44.6%にも上り、10年前に比べ13ポイント増加しています。

また40代・50代の男性の60パーセントが、自分が「セックスレスだと思っている」と答えています。

性交渉に積極的になれない理由について、男女別上位3位までまとめてみました。

男性の場合

第1位:仕事で疲れている:21.3%

第2位:出産後何となく:15.7%

第3位:現在、妻が妊娠中か出産後すぐだから:11.2%

女性の場合

第1位:面倒くさい:23.8%

第2位:仕事で疲れている:17.8%

第3位:出産後何となく:16.8%

(日本家族計画協会「第7回 男女の生活と意識に関する調査 2014年」)

 

別のリサーチによると、男性の平均70パーセントが「もっとセックスをしたい」と希望しており、そうできない理由として、「相手がその気になってくれない」というのが、全ての年齢層で1位となっています。

20~40代では、仕事が忙しいという理由がその後に続きますが、50~60代では「セックスをするきっかけがない」というのが、2位となっています。

この調査結果から浮かび上がってくるのは、セックスレスは第一子を妊娠・出産後から始まるケースが多く、また働き盛りの世代が仕事に疲れて夫婦生活のための余力を残せないでいる構図です。

また、中高年・熟年夫婦の性生活においては、70パーセント近くの男性が「もっとセックスしたいと思っている」のに対して、女性は50代で25パーセント、60代で14パーセントしか、それを望んでいないという結果から見ても、女性のほうから拒絶されているケースが多いということが推察されます。

生身の相手とセックスを楽しめない日本人のメンタリティー

セックスレスが増える一方で、アニメやエロ漫画、アダルトビデオなどの分野では、日本は世界に名高いポルノ大国だということを、ご存知でしょうか?

若い男性が、生身の女性よりも、メディアを通して性的欲求を満足させるケースが多いのも、日本の社会に特徴的に見られる傾向です。

今は世界的社会現象ともなっている日本のアニメブームですが、世界の反応を見ると、日本人の女子像は、マゾ的な要素があると言われています。

欧米諸国のように、性は男女に共通する生の基本的な欲求であり、それを楽しむのは両性においての権利である、という暗黙の了解が日本にはないように感じます。

あくまで、「男性を満足させる性の対象としての女性像」を追求する男性と、それを必死に演じなければならない日本の女性の姿が浮かび上がってきます。

 

話が横道にそれますが、アメリカ人の男性からこんな話を聞いたことがあります。

「日本のアダルトビデオを見たけれど、あれはどうも変だよ。女性の喘ぎ声が断然不自然だね。甲高すぎるんだよ。あれじゃあ、男性にレイプされてるみたいだよ。あんなのを見て興奮するなんて、SMの気があるんじゃないかって思ったね。日本女性は、あれを見て怒らないの?」

ちなみに、アジア出身の男性たちにも感想を伺ったところ、不自然だと感じている人が多いことが分かりました。

日本では、女性が性的に受け身で、時には男性にいたぶられている描写がありすぎる、との意見でした。

更には、アニメにおいて極度に幼児化された美少女、大人女性の自立した強さではなく、可愛さ・従順さ・大きな胸を強調した姿は、女性をどこまでも男性本位の性の対象と捉えているのではないか、との議論にまで発展していきました。

こうした架空のバーチャルな女子像を性欲の対象としてきた男性が、実際の生身の女性と付き合う時、そのギャップに戸惑い、健康的な性関係を持てないということも、実際にある話しです。

夫婦間の性生活における欧米社会と日本の違い

日本は縦の社会と言われます。

夫婦関係よりも親子関係を重視します。

欧米では、子供はいつかは巣立っていくもの、残るのは夫婦と考えており、家族の軸を夫婦という横の関係に置いています。

また、夫婦をつなぐ最も強い絆は心の絆以上にセックスであると考えており、それがなくなることイコール夫婦の破綻と考えるのです。

 

もちろん欧米にもセックスレスに悩む夫婦は沢山いますが、彼らはそれを放っておきません。

セックスについて夫婦が積極的に話し会い、カップル・カウンセリングを受けて、セックスレス解消のために積極的に努力します。

それは、セックスというものに対する偏見がなく、オープンに話し合える文化にあると共に、セックスを楽しむのは男女共通の権利である、という考えからきています。

一方が満足しても、他方が満足できない夫婦生活は、決して健康的とは言えません。

日本人のように、相手の顔色をうかがい、相手が満足しているかばかりに気を取られて、自分の快感を追究することを置き去りにするようなセックスは、結局のところセックスレスに行きつくのではないでしょうか?

日本人の夫婦は、もっとオープンにお互いの性について積極的に語り合い、男女の違いを知る必要があります。

 

多くの男性が持っている女性の性に対する認識は、メディアなどから得ていて、そのほとんどが正しくはありません。

また、個人差があるため、一般論を鵜呑みにしてはいけない部分があります。

それを考えると、夫婦が直接、性生活について話し合い、お互いに願っていることを正直に伝えるという努力なしには、永遠に満足できる境地に至ることは出来ません。

特に日本人には、「言わなくても察してほしい」というメンタリティーが強くあります。

それプラス、女性が性について話すことはハシタナイこと、という社会的認識があるために、コミュニケーションが更に難しくなっています。

欧米諸国に比べ、性を軽視し、真剣に扱わない傾向があるため、性生活をよくするための真面目な話し合いを持てないでいるのが現状ではないでしょうか。

お互いの性に対する正しい知識と、それに向き合う努力なくしては、夫婦生活を向上させることは非常に難しいのです。

 

「自分たちはセックスレスでも仲良し夫婦です」という方がいるかもしれませんが、それは夫婦として非常に不自然だということ、そして知らない所で夫が性欲を満たすために浮気をしている可能性が大だということに気付いてほしいと思います。

逆に言えば、性について率直に話し合える関係を築くことができたなら、その夫婦はコミュニケーションに成功していると言えます。

円満な夫婦生活は、円満なコミュニケーションから生まれるのです。

参考サイト:http://sagami-gomu.co.jp/project/nipponnosex/times_sex.html